ブルネイ
日本のローカル空港よりまだ小さな国際空港に着いて、先ずは両替をと空港内で銀行を探す。 やってなかったのか無かったのか、もう覚えていないが、その場で換金出来ない・・・たまたまドルは持っていず、あるのはJap¥のトラベラーズチェックだけ。
     
普通なら取引先から迎えの車が来ているのだが、この日は日曜とあって、ぼくはこの申し出を断っていた。 無い物はない。 
空港のターミナルビルを出ると、何台かのタクシーが客待ちをしている。 ただ、何とものんびりした感じで、僕が車に近づくと「あんた乗るんかいな」と謂う顔をして運転手がこちらを見いている。 周りを見ると雰囲気はまるで中近東・・・・そう、この国にはイスラム教徒が多かったんだ。 金がないから歩いてホテルまで行く訳にもゆかないし、ホテルからの送迎バスが来ている様子も無い。(出張で泊まるのはヒルトンクラス以上なのだが。)
          
タクシーに乗り予約を入れてあるホテルに到着。
運転手に事情を説明して、ホテルで換金する間待ってて欲しいと伝え、急いでホテルに飛び込んだ。 ところが、日本円の利用も換金も出来ないとおっしゃる。
運転手を待たせたままチェックインを取り敢えずしてから、他の方法を聞いたがどうにもならない・・・・と困っていたら、ホテルのマネージャーがやって来て、自分のポケットマネーから立て替えてくれると言う。 借りたお金を持ってタクシーに戻ると、運転手は新聞を読み耽っているようで、僕が戻った事に気付かない。 いい気なもんだ。
運賃とチップを渡して、ありがとさん。     これは1987年頃の話です。

ブルネイはその天然資源(石油と天然ガス)の豊富さから、世界一の金持ち国とも言われ、
何しろ個人所得税が無く、学校や医療費もタダと来ている。
写真のような水上生活者の住宅にしても、我々が単純に想像するアジア諸国の水上生活のイメージとは程遠い生活が見えてくる。
       
素晴らしい海水浴場になるだろうと思えるような海岸があるのに、行ってみると猫の子一匹いないではないか。
取引先のマネージャーに「観光開発すればこれは凄いだろうね」と言うと「そこまでしてお金を儲ける気などこの国には無いね。」の一言。
最近でこそ事情は大きく変貌しつつあるが、石油がいつまで出続けるものやら、当時の予測では向こう20年で枯渇すると言われていたのだが。
しかし、この海岸にうち捨てられた難民船の残骸が痛ましかった。
             

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